長時間労働の改善-働き方改革推進支援助成金

 令和6年度の労働基準監督署の監督指導結果ですが、「長時間労働が疑われる事業場」に対して監督指導を行ったところ、81.1%で労働基準関係法令違反が認められたという公表がありました。

 対象事業場は、「長時間労働が疑われる事業場(過重労働により労災請求が行われた事業場や各種情報から1か月80時間超の時間外・休日労働が行われていると考えられる事業場)」を対象とした、という背景もありますが、時間外・休日労働の実績の長さ(月80時間超、月100時間超など)が目立ちます。

【主な違反内容】 

  • 違法な時間外労働(42.4%)
  • 賃金不払い残業(8.0%)
  • 過重労働に対する健康障害防止措置(医師による面接指導等)が未実施(21.5%)

    ※令和6年4月~令和7年3月の指導結果
    ※対象事業場は、26,512事業場

 昨今の物価高による実質賃金の低下もあり、労働者側から働けるだけ、働きたいという申し出を受けるという事例も伺います。しかし、労働時間管理を行い、安全配慮を行うのは、事業主の責任ですので、労働者から言われたから、という説明は通用しません。

 中小企業の時間外労働の上限規制は2020年4月から適用されていますが、特に従業員規模が30人以下規模の事業場で、まだまだ取り組みを支援していく必要性があると考えます。

 厚生労働省でも、今後も長時間労働是正に向けた取り組みや、11月の「過重労働解消キャンペーン」期間中に重点的な監督指導を行うとしています。

 働き方改革に取り組むのであれば、「働き方改革推進支援助成金」の活用を検討されてみてはいかがでしょうか。

 この助成金は、「時間外労働の削減」や「年次有給休暇の取得促進」などの働き方改革に取り組む際の費用を支援します。賃金引上げの際の加算もありますので、10月の最低賃金額引上げを見据えながら、複合的に、戦略的に取り組むとより効果的な活用となります。

 韓国でも、長時間労働問題、急激な少子化問題があり、働き方改革が重要課題にされているようです。「長く働いていても生産性も国際競争力もだんだん落ちてきている。」と。

 また、働き方改革のスタートは、現状分析と他社事例を参考にしてみてください。同じような課題で悩んでいる事業場や国がありますので、解決のヒントになります。