固定残業代-春だからこそ再確認を-
年度末から年度初めの報道で、「初任給30万円超え」、「ベースアップ〇%」のような賃上げを聞かれた方は多いのではないでしょうか。そして、4月から5月にかけて、改定後の賃金の締め日と支給日がやってきます。
まず、基本給や手当等を改定した場合は、固定残業代のチェックも忘れないでください。昇給しているということは、もちろん割増時給単価もアップしています。
「固定残業代の単価くらい、言われなくても大丈夫」という方は多いのでしょうから、本題はこれからです。
固定残業代は取扱いを注意すべき支給項目です。
固定残業代は事業主が支払っていた「つもり」でも、運用用の小さな間違いから、支払いが否定されてしまうことがあります。
事例1 手当の名称は必ずしも「固定残業代」とは限らないけれども…
社 長:「営業担当には、固定残業代で支払いたいと考えているのだが…。」
社労士:「支給明細書上は、「固定残業手当」にしますか?」
社 長:「総務担当には、実働に応じた割増手当を支払うので、「営業手当」や
「業務手当」にしょうかなと思っている。」
☞ 固定残業代を異なる名称で支給することは可能ですが、何の対価なのか分からなくなるようでは、労働者から残業代未払いと主張された際に困ってしまいます。「営業手当」にせよ、「業務手当」にせよ、それは固定残業代として支給することを就業規則(又は雇用契約書)で明文化し、労働者へしっかり説明しましょう。
事例2 月間の大半を欠勤の場合、固定残業代は…
社 長:「営業担当Aさん、私傷病欠勤で、今月2日しか出勤してないんだが、固
定残業手当はどう計算すれば良いだろうか?」
社労士:「手当は支給して、控除をするという方法があるかと思いますが、就業
規則で定めている必要があります。御社の賃金規程でどのように記載
されていますか?」
☞ 出勤日数が極端な事例ではありますが、月の半分出勤の場合はどうするかなど、欠勤があった場合の事例を想定し、各種の手当の中でまとめて欠勤控除として処理するのか、又は固定残業手当から個別控除を処理するのか、いずれにしても就業規則等で、取扱いを明文化しておかなければ、控除をすることはできません。
固定残業手当が否定されてしまった場合の遡及処理や支払い額を考えるとぞっとしますね。定例処理の際には、一度立ち止まって周辺部の取扱いも含めて点検してみることが大切です。
そして事例1及び2に共通するのは、法的規制を理解し、就業規則や雇用契約書があってこそ、点検できるものです。点検の際には是非社労士をご活用ください。
